はじめに
もし仮に「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ(1570)」を毎日 12:30 〜 13:00 に売買し続けた場合、日々の損益はどうなるでしょうか?
じつはその結果が
こちら にあります。「12:30 〜 13:00 の損益(%)」というタイトルのグラフが日々の損益です。 (※平日 8:00〜17:00 のみ表示)
「毎日同じ時間帯に売買すること自体そもそも優位性があるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、分足チャートを毎日リアルタイムで見続けていると似たような時刻に値動きがトレンド転換したり、日中の高値・安値を付けるといったデジャヴに遭遇することがよくあります。
そういった傾向を定量的に調べているのがこの「季節性分析」で、毎日同じ時刻に売買するというアイデアが先行しているわけではありません。
季節性分析についてわかったところで次に知りたいのは「どの銘柄のどの時間帯がより上昇・下降する傾向が強いのか?」ではないでしょうか。
これを提供しているのが「季節性ランキング」です。各銘柄の季節性分析をもとに、上昇・下降する傾向の強い銘柄とその時間帯をスクリーニング(抽出)しています。
このランキングの特徴は売買する時間帯をあらかじめ決めるだけで、
- その時間帯に上昇あるいは下降する傾向の強い銘柄
- ポジション保有時間の目安
- 損益の目安
といった情報がわかることです。例えば値動きが少ない「後場」という時刻を切り口にして銘柄を探したい、といった際に有効です。
もちろんあなたがトレードする日に同じトレンドになるとは限りませんが、少なくとも根拠なく直感で銘柄を選んで売買するよりは知見を広げられます。
季節性ランキングを使ったトレード手順は基本的にどの時間帯でも同じですが、トレードする時間帯によって考慮すべきポイントが変わります。
ここからは具体例として 12:30 〜 13:00 にトレードする手順を解説していきます。
12:30〜13:00 にトレードする
ポジション保有期間が30分間の季節性を根拠に仕掛けますので大きい利益を狙うものではありませんが、実践して学ぶことを重視した手順になっています。
なるべく売買手数料ゼロの条件下で試しましょう。
後場が始まってから銘柄探しを始めるとマーケットの動向が気になってしまい気持ちの上で落ち着きません。
12:30 以降に集中するためにも、出来れば 12:25 ぐらいまでに当サイトの「季節性ランキング」ページを開きます。
ランキングのフィルタには下記を指定します。
フィルタ | 指定する値 |
---|
エントリ時刻 | 12:40 |
保有期間(分) | 15〜30 |
トレンド | ロングポジションを取りたい場合 → 「上昇」をチェック ショートポジションを取りたい(空売りしたい)場合 → 「下降」をチェック
|
エントリ時刻とは「あなたが何時からトレードを始めたいか?」のことで、ここでは 12:30 ではなく 12:40 を指定します。これは乱高下する後場寄り直後の数分間を除外するためです。
実際にトレードしてみるとわかりますが、最初から 12:40 にエントリすると決心しておくことが後場寄り直後の値動きを静観する余裕へと繋がります。
一か八かの賭けに出るのではなく、まず観察してから出方を考えるという練習にはうってつけです。
保有期間とは新規注文が約定してから返済注文が約定するまでの期間のことで、要するに「あなたがどのくらいの時間トレードしていたいのか?」を指定します。
最短の保有期間は「1分」から指定可能ですが、ここでは「15分」を選択します。これは保有期間が短すぎると利益が小さく手数料負けしてしまうこと、また季節性に沿った値動きがみられる日でもそのトレンド変化点には数分のずれがあるためです。
最長の保有期間を「30分」にすると最長 13:10 までのトレードが含まれますが、ランキング上のエグジット時刻はあくまでも目安です。手仕舞いの方法については後述します。
表示された一覧の中から銘柄を選びます。
(列の説明)
列名 | 説明 |
---|
コード | 銘柄コード。クリックすると該当時刻の季節性を分析した個別銘柄ページが別画面で開きます。 |
銘柄名 | 銘柄名。クリックすると該当時刻の季節性を分析した個別銘柄ページへ遷移します。 |
日付 | 初めてランク入りした日。「この日付から毎日連続してランク入りし続けている」という意味です。 |
エントリ | トレード開始時刻。フィルタで指定した時刻と同じです。 |
エグジット | トレード終了時刻。この時刻にエグジットすると効果が高いことを示しています。 |
保有期間(分) | エントリ 〜 エグジットの期間 |
トレンド | 「上昇」あるいは「下降」。エントリ 〜 エグジット間で毎日トレードしたときの平均的な傾向です。 |
トレード数 | 検証に使った営業日(バックテスト)の総数 |
勝ち数 | 検証に使った営業日(バックテスト)のうち、利益の出た日数 |
勝率(%) | 勝ち数 / トレード数 × 100 |
平均損益(%) | 全ての検証結果(バックテスト全体)の平均損益 |
中央利益率(%) | 全ての検証結果(バックテスト全体)のうち、利益の出た方向(上昇 or 下降)の利益率の中央値 |
中央損失率(%) | 全ての検証結果(バックテスト全体)のうち、損失の出た方向(上昇 or 下降)の損失率の中央値 |
季節性分析ページの上部にあるシーズナルチャート上で範囲選択されている区間が「エントリ〜エグジット」の期間です。
選択範囲内の青いライン(寄後変動率)が上昇していればトレンドは「上昇」、下降していればトレンドは「下降」となります。
季節性分析ページの最上部にあるカレンダーで選択されている日付の総数がトレード数とほぼ等しくなります。
もしエントリ〜エグジットの時間帯で値が付いていなかった場合、その営業日はトレード数にカウントされません。
季節性分析ページの下記で示されている部分が、平均損益と勝率です。
※トレンドが「下降」の場合、上記「1トレード当たりの平均損益」グラフの符号を反転させた値が「平均損益」となります(棒グラフ上でプラスであれば損失、マイナスであれば利益)
中央利益率とは、季節性分析ページの下記利益率
をソートした中央値のことです。(※トレンドが「上昇」の場合)
平均損益率はどうしても小さな値になってしまうため、「利益が出る場合にどの程度期待出来るか?」の目安としてこの中央値を参照します。
※トレンドが「下降]の場合、上記の中央値をマイナスにしたものが「中央損失率」となります
中央損失率とは、季節性分析ページの下記損失率
をソートした中央値のことです。(※トレンドが「上昇」の場合)
「中央利益率の絶対値 < 中央損失率の絶対値」の場合、トレンドが逆行する方向へ動いたときにより大きく動く可能性があります。
※トレンドが「下降]の場合、上記の中央値をプラスにしたものが「中央利益率」となります
次の条件を一つでも満たす場合、季節性ランキングには含まれません。
- 1日当たりの平均出来高が 100,000 株未満の銘柄
- 「トレード数」が 50 回未満
- 「勝率」が 51% 未満
- 「中央利益率」が 0.1% 未満
結果として、当サイトに多数ある銘柄検索の中でも「長期的に見て安定してデイトレードに適している銘柄、及びお勧めの時間帯」がランキングされているのが特徴です。
銘柄や仕掛ける方向は基本的に好みで構いませんが、少なくとも前場の値動きが平常時と大きく異なる銘柄は避ける必要があります。
これは例えばニュースなどの影響で値が大きく動いている日ですが、当日に市場参加者の注目を集めているような銘柄に対して季節性分析は適していません。
ここは面倒でもまず候補銘柄のチャートを見て、前場の値幅と出来高が直近数日間と大きく異なっていないかどうかを確認しましょう。
リアルタイム会員はシーズナルチャート上に当日の1分足が重ねて表示されますので、季節的な傾向と比較することが出来ます。
日を追うごとに損益がどのように変化しているのかも確認しておきます。
例えば下記の場合、大きな上昇と下降が発生した後にそのトレンドが継続し易いことがわかります。
季節性以外の分析方法を銘柄選びの際に併用するかどうかですが、判断材料が多ければ良いというものではありません。
情報が多すぎても迷うだけで、次回のトレードへ反省点を活かすことも難しくなります。
例えば5分足の移動平均線25本と75本を併用するならするで「毎回使う」、他の情報は見ないなら「一切見ない」で立ち位置がぶれないようにしておきましょう。
ピックアップする銘柄の数ですが、始めのうちは1つで十分です。複数の銘柄を同時に状況判断して捌くには慣れが必要です。
但し後述の通り注文を成行ではなく指値で行いますので、1銘柄しか選んでいない場合は約定せずそのままその日はトレード出来ない可能性があります。
このときチャンスを逃してしまった、と焦らないようにしましょう。そもそも季節性ランキングは翌日急激に大きくは入れ替わりません。「また明日試してみよう」ぐらいの余裕がないと冷静な状況判断に支障をきたしかねません。
十分に慣れてきた後に2〜3銘柄候補をピックアップするのが良いでしょう。
もしピンと来るような銘柄が1つも見つからなかった場合も適当に選ぶのではなく、「今日はトレードしない」と直感に従っておいたほうが往々にして後悔せずに済みます。
トレード対象の銘柄が決まったら、後場寄りの値動きを2〜3分間確認してから 12:40 に付けそうな価格よりも少し割安の指値を事前に発注します。
指値にする理由は2つあります。1つ目は「ここぞ」という所で成行発注するよりも、必要に応じて発注済みの指値を訂正するほうが作業的にもメンタル的にも負担が少なく済みます。
2つ目は、多くの場合ポジションを取った直後に一時的な含み損が発生します。もしそうであれば始めから含み損が小さくなるような価格で約定させよう、というのが狙いです。
これは季節性分析を使って確認出来ます。例えば 12:40 に買い注文を入れられる状態で、13:00 までポジションを保有する予定とします。
このときの過去のトレード結果は、シーズナルチャート上で 12:40〜13:00 を範囲選択するとわかります。
ここで赤いローソク足の「下ヒゲ」に注目します(※ロングの場合)。つまり過去の勝ちトレードでどれだけ「12:40〜13:00 の間で 12:40 に付けた価格を一時的に下回ったか」を確認します。
大半のローソク足に下ヒゲがあるのであれば、12:40 時点で成行にせずにその後の割安価格を狙うほうが理にかなっています。
指値の発注後に価格が遠ざかる方向へと動き出した場合、値動きは一般に上下することを思い出してまずは焦らずに観察しましょう。
もし更に価格が遠ざかる方向へと離れてしまった場合、それは季節性に沿わない値動きを約定前に検知出来た、ということを意味します。
この場合慌てて指値を変えて深追いすると割高のポジション保有という結果につながりかねません。無理をせず、その日はその後の値動きを観察するなどしてゆっくりと過ごしましょう。(※状況にもよりますが、逆方向へ仕掛ける選択肢もあります)
約定時刻ですが、12:40 ちょうどを狙う必要はありません。季節性ランキングのフィルタはエントリ時刻が10分刻みになっていますが、この時刻はあくまでも目安です。
例えば結果的に 12:37 に約定した場合、季節性分析のシーズナルチャート上で選択範囲を 12:37〜 へと変えて確認します。
新規注文が約定したら、利益確定の指値と損切りの逆指値を OCO 注文で入れます。
実際にトレードしてみるとわかりますが、この注文さえ入れておけば後は「価格が指値と逆指値のどちらへ先に到達しそうか?」の一点のみに集中して次に成すべき事を考えることが出来ます。
また特に逆指値は緊急時(急激な値動き、呼び出し等による離席、睡魔、通信環境切断といった災害)の保険にもなります。
指値の価格は季節性ランキングの「中央利益率」を一つの目安にします。これはもし期待した方向へ値が動いた時に「過去の平均的な利益率がこの値」という意味です。
値に迷った場合は、この目安よりも多少利益が大きくなるように指値を入れておきます。
逆指値の目安としては同様に「中央損失率」を参照するのも1つの方法ですが、この場合やや損失が大きくなってしまいがちです。
汎用的な逆指値の決め方を
脱! コツコツドカン で解説しています。
また指値と逆指値(リスクリワード比)は勝率と重要な関係があり、これについては
購入株数の計算 で取り上げています。
ぜひ併せてご覧下さい。
もし含み益が多少出ているのであれば、より大きな利益・小さな損失を目指して発注済みの指値・逆指値を微調整していきます。
あるいは次のような場合、13:00 まで待たずに手仕舞います。
- 逆指値に到達しそうな時(損失が出るのが時間の問題であれば、損失額を極力小さくして待ち時間も減らす)
- おそらく 13:00 まで待ってもわずかな含み益しか見込めない、あるいは含み損が見込まれる場合(期待した値動きをしなかったのであれば、それをより早い段階で認める)
- 「中央利益率」を大きく上回る含み益まで到達した時(欲張らず、幸運を逃すことなく確実に利食いする)
ここは OCO 注文を入れていますので必須というわけではありませんが、トレーニングになりますのでぜひチャレンジしてみましょう。
ここが最も重要です。実行するためには強い意志が必要です。
まず原則として、損益の状況に関わらず手仕舞います。含み損を確定するのは痛みを伴いますが手仕舞います。ほとんど含み益がない時は様子見したくなりますが、それでも手仕舞います。
そうしないと想定外にあなたの時間と労力を消費してしまいます。値動きの小さくなる時間帯に入りますので、続けるほど時給の下がるアルバイトのようなものです。運良く値が動いて利益を増やせる可能性はありますが、その確率は損失が増える可能性と全く同じです。
そもそもエントリ前の前提条件をトレード中に覆すにはよほど明確な根拠が必要です。これはどのようなトレード方法であっても共通して言えることです。
必ずしも 13:00 ちょうどにエグジットする必要はありませんが、ずるずるとポジションを持ち続けないためにも 13:00 にやめると決めておいたほうが良いでしょう。
例外としてはエグジット条件が明確になっている前提ですが、例えば
- 発注済みの OCO 価格へ間もなく到達する(少なくとも大引けまでには確実に到達する)
- エントリ時に見落としていた重要な価格帯まであと一歩で到達する
- 他の分析手法から判断しても、ポジションを持ち続けたほうがより損益プラスの値動きを期待出来る
- すでに十分な含み益が出ていて損失を 100% 回避出来る状態で、実験的にトレンドフォローを継続したい
といった状況が考えられます。
おわりに
ここでは季節性ランキングを使って昼休み (12:30〜13:00) にトレードする手順を紹介させていただきました。
他の時間帯として例えば 11:30〜12:30(ランチブレイクトレード)を行う場合、次のような特徴があります。
- 前場引けの引け成り注文なので、午前中に新規注文を入れておくだけで良い
- 市場が昼休み中なので、ポジション保有中に値動きを気にする必要がない
- 後場寄りの寄せ成り注文なので、エグジットの判断に迷わない
- 値動きが不連続のため、想定外に大きく価格が上昇・下降する可能性がある
使い方の次のステップですが、「季節的な傾向が発生する理由を推測する」というアプローチが考えられます。
例えばあなたが「じつは季節的なトレンドには全く必然性がなく単なる確率上の偏りに過ぎない」と考えたとします。
このとき次のような戦略を立てることが可能です。つまり「ある時間帯の上昇・下降トレンド比は長期的に見て偏りがなくなる方向へと回帰する」という考え方のもと、
- ある時間帯における下降トレンドの勝率が高い銘柄 → ロングポジション(上昇することを期待)
- ある時間帯における上昇トレンドの勝率が高い銘柄 → ショートポジション(下降することを期待)
と徐々に勝率が 50% へと近づく方向を期待してトレードする、というものです。
あるいはランキング入りしている銘柄を「業種」という切り口で見て推測の手がかかりにする、といった展開などが考えられます。
季節性分析は全く異なるセットアップでトレードしている方にとっても、より強固なエントリ・エグジットの根拠として併用可能です。
ご自身のトレードスタイル、時間帯に合わせてぜひご活用下さい。